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2015/11/01[Sun]
雑記 >> とうらぶミュいってきました


10/31(土)、ハロウィンで厳戒態勢の渋谷にミュージカル刀剣乱舞トライアル公演を見に行ってきました。
写真はその際に作成したはいいものの、加州の州の字に点が一個足りずにお蔵入りとなったうちわとなります(二部がライブでうちわとペンライトの持ち込みが許可されている舞台です)幸か不幸かドリームライブでカラーギャングになるのには慣れてしまった身ですので、本番はもっとガチ装備で挑みました。そしたら加州が、加州が赤い目で私のこと見てくれたんだぜ……。
追記にネタバレ感想などまとめてみましたので、よろしければどうぞ~。










■ミュージカル刀剣乱舞 トライアル公演 10/31(土)13:00回

※ネタバレ配慮なし
※記憶を頼りに自分の中で噛み合うように書いているので、細かいフレーズ違う等あるかと思われます
※原作ゲームの加州清光だいすきゴリラの主観と偏見です


■1幕

最初に一言でまとめておくと、感想は「まさかこんなに泣くとは思わなかった」です。
懸念されていた妙な設定の追加やキャラを歪めた部分はなく、本当に余分なことを一切せず、華麗な殺陣と隙のない演出、華麗なアンサンブルと義経主従(人)の熱演により骨太王道ストーリーを展開してくれました。一言でいうとサイコーなので、迷われている方は黙ってアイアに行くのが宜しいかと思われます。とにかく殺陣が華麗なので、生観劇がまじまじサイコーです。
これはキャラ萌え(加州清光だいすきゴリラ)なだけではなく、今まで少々舞台を追いかけていたなかでも、単純に作品として面白かった、観劇して良かったと思ったから言っているつもりです。
観劇前夜、不安と緊張からマッドマックスみたいなテンションになっていた私は死にました。いまは次のチケットを千切るのが楽しみで仕方ありません。

-------------

ストーリーは戦装束の兵士たちが合戦をしている場面から始まります。矢が飛ぶ、槍が出る中で、大立ち回りを演じているのが源義経と武蔵坊弁慶。詳しく説明はされませんが源義経が討たれた1189年の衣川の戦い、500騎の敵に対して義経側10人、善戦するも絶望的な状況であることが弁慶の「皆よく戦い、死にました!」という台詞に滲んでいます。
最期を悟った義経は堂々と弁慶に「時間を稼げ」と命じ、屋敷に火を放って自害することを暗につげます。
弁慶は有名な辞世の句『六道の 道の巷に 待てよ君 遅れ先立ち 習いありとも』を詠み、“わが君”こと義経も『後の世も また後の世も 廻り会へ 染む紫の 雲の上まで』と返します。ざっくりいうと「来世で会おう!」という永遠の主従の誓いなのですが、ここで義経の手元には短刀・今剣が握られています。
そして「死してなお余を守護せよ」、後の重要台詞です。弁慶は数多の矢を受け倒れ、史実の通りに義経は今剣で自害。「よしつねこう?これは、なに?」という鬱フラグマックスの今剣の声が周囲に響いて暗転します。
この部分をめっちゃ力入れて書いていることで察して頂きたいのですが、のっけから凄まじい気迫での殺陣と演技が展開され、メインの刀剣男士が一切でてきていないにも関わらず熱気に体が震えました。大柄な弁慶の豪快な薙刀さばきといい、細身で踊るようにバッサバッサ斬っていく義経公の動きといい、本当にここの僅か数分間で魂抜かれました。そして史実にのっとったガチシリアスです。義経さま(享年31才)が本当に堂々として……この間は史実の人間たちのみで話が進行するのですが、義経主従の熱演に気付けば頬を熱いものが伝っていました。繰り返しますが刀剣男士は一切でてきていません。まさかメインキャストが出てこない開始3分で泣くとは思っていませんでした。

オープニングはアイアの(数少ない)美点のひとつである映像を駆使してタイトルロゴが映し出され、「とーけんらんぶ!(つよーく強く鍛えーしはーがーねー)」という感じの歌が流れます。パンフによれば曲名もまんま「刀剣乱舞」とのことなのですが、こちらもアイアのお家芸・微妙音響により歌詞があまり聞き取れなかったのが残念でした。ちらほら聞こえるフレーズでは超かっこいいこと言ってたので、歌詞カードの実装もしくはアイアの破壊が早急に待たれます。

華麗に刀をさばきながら歌い踊るキャストがそれぞれのキャラごとにそれっぽいフレーズを言うのですが、加州の「水辺に咲く真紅の薔薇よ」というやつが、このミュージカル内での加州のキャラ観をよく表していたな~と思います。

さて肝心の刀剣男士、衣装のクオリティはとても高いです。気合入れて作った感があります。
今回はキャストさんの体格もそれぞれのキャラクターのイメージにぴったりで、やや細身でいつも悠然と微笑んで周囲を見渡している三日月宗近(麻璃央の細面が本当にうつくしい)、筋肉ばっきばきの小狐丸(内番衣装が既にやばいがパージするともっとやばい)、長身でどっしりと構えた石切丸(ダンスの機動力も低い)、そしてショタみ溢れる今剣と大柄でがっしりとした岩融(劇中何度も肩車をしても自然な素晴らしい体格のバランス)、これが並んだシルエットの美しいこと美しいこと……。
そして特筆したいのがカラコンです。私がしっかりと確認したのは加州と三日月だけなのですが、これによって彼らが人ならざる者であることがより強調されていたというか、ここぞというシーンで異色の虹彩が見えた時、ぞくっとしました。特に三日月宗近、演じる麻璃央くんのお顔が無駄をそぎ落とし完璧な角度と線で構成された超絶美しい造詣であるのですが、その瞳がガラスの様に青く染まっていて。本当に人形、無機物のようであり、神々しさや畏怖をかんじるようでもあり。心中がまったく読めないキャラクターであることもあり、その微笑みの奥に何が隠されているのかと、尋常ならざる雰囲気をかもしだしていました。刀を振るたびに翻る衣の裾もおそろしく優雅で……とぼけているようで達観している、雲の上の存在のようでありながら仲間への優しい情をもっている、そんな三日月像を立ち姿だけで表現するイケメンってすげぇなっと思いました。

加州清光の話をします。
公式立ち絵を意識してか、頬の高めの位置にチークが入った流司加州。舞台の半分くらいが可動式の階段状になっているのでさすがにヒールは履いていませんでしたが、揺れるイヤリングやたまに覗くベストとシャツの境目、翻ると見えるくコートの裏地の菱形模様など、加州清光だいすきゴリラ(私)にとって夢のような完成度でありました。個人的に公式立ち絵では手に持っている刀を実際に腰にさすとコートがペロンってなるところ、激しく動くとちゃんと前に垂れていない襟巻(二三回片方うしろにいってしまっていて萌えました)などなど、現実にそこに存在している故にみえてくる動的ポイントがサイコーでした。加州清光現実でした。

舞台を見られる方ならある程度ご存知かと思うのですが、加州清光を演じる佐藤流司くんは「流司プロ」と呼ばれるほどの2.5次元舞台職人、我々が望むものを完璧な形で作り出す匠、二次創作で定着化したイメージで「期待はしているけどそこまでは公式に望めない」というものを実際にやってのけてくれちゃうエキスパートであらせられます。
正直に言うと最初は不安でした。流司パイセンの技量を信頼すればするほど、加州清光という解釈がヤンキーからかわいこちゃんまでま~~~~じ~~~~~で~~~~~~~とっ散らかったキャラクターを演じた場合にどうなるか。完璧な解釈違いを演じられた場合、私は異教徒として石打の刑に処せられ死ぬのではないか。妄想という正義など無いエゴと性癖の殴り合いに、ひとつの終焉そして死が訪れてしまうのではないか。そんなことを不安に思って、万が一のときは舌を噛み切る覚悟でおりました。ぎりぎりでいつも生きている加州清光だいすきゴリラです。

そんな私、結論からいうと、死ぬ定めに堕とされた所を、流司清光に救済されました。

これはもう解釈とか云々ではなく、台本からしてこのミュージカルの加州はかわいこちゃんの加州清光だったんです。主(音声のみの男審神者/敬語でした)のことが大好きで、「俺が隊長?認められた?よっしゃ!」とか「まぁアンタがそういうなら、いいけど!」って隠さずに言っちゃう子で、印象としてはちょっと幼くて素直な感じでした。もちろん公式セリフもがんがん言いますし、戦いの時は試衛館仕込・壬生のバーサーカーっぽさを覗かせる漢なのですが、素の時は狂言回しを担っていることもあり、ずっこけたり「あ~も~」と頭ガシガシしてみたり、ゲームでみせるプレイヤーへ淡白な台詞をはく部分、飄々としてすぐに本音を出さない部分はカットされている印象でした。
上記の事から台本という舞台の絶対運命によって、とうらぶミュの加州清光は生まれた時から解釈違いであり私は死ななくてはならなかったのです。しかし生きています。何故か? あまりにも流司くんのキャラクターの作り込みのクオリティが高く、一貫性があり、その計算しつくされた動作のひとつひとつに「あ、こういう加州清光もかわいいですね~~~~~~~~」とゴリラが洗脳されたからに他なりません。
冒頭、部隊長を任された加州が三条サーにぶちこまれたことを知った場面、審神者に向けて「三条の連中ってなんかとっつきにくいっていうか、扱い難いっていうか……せめて一人は気心知れた奴をいれるとかは?例えば、大和守安定とか」と発言します。いきなりの沖田組に発奮そして轟沈したのは勿論なのですが、この台詞を冗談めかすでもなく素直に、主の方をまっすぐ見ながら言えるのがこの話の中での加州清光なんだなぁと思います。
戦場以外ではことあるごとに(他の三条がストップしてる間でも)自分の髪をいじいじしているのがたまらなくかわいかったです。爪も目もきっちり赤いので、仕草のひとつひとつに加州清光が現実にいることの尊さを噛み締めました。


本編に話を戻します。隊長に命じられた加州はなんやかんやで三条の連中をまとめ、なんやかんやで源頼朝が歴史修正主義者にぶっ殺されそうだから行ってこいやと言われます。既に加州らは何回か厚樫山にいったことがあるのですが、最近鍛刀されたばかりの岩融はいったことはないとか、義経主従が組んで出陣するのは初めてだとかなんやかんや。ちなみにこの間、ゲーム本丸BGMが流れています。ゲームの音楽や台詞を超積極的に使用してくれる姿勢、とても良かったです。

ここで三条の連中もそれぞれ話を伝聞する様子が描かれるのですが、内番姿で畑を耕す三日月のやたら腰のはいった鍬使い、そして鍬で飛ぼうとする魔女ポーズ、小狐丸の「三日月殿」呼びが印象に残りました。ゲーム内では直接絡みがないキャラクター同士もがんがん会話するので、こういった呼称や口調はオリジナルで補完されているのですが、驚きはしても違和感はなかったです。小狐丸もどこか文字にしたセリフからでは本心の読みにくいキャラだと思うのですが、声質がゲームに近いしっとりとした声をされていて、落ち着いて周りを諌めるような態度に非常に心がこんこんいたしました。

その他、オリジナルの呼称では石切丸の「今剣さん」「加州清光さん」等が新鮮だったのですが、これが最後「清光」になるところでホモの気配を察知しました。

みなさん岩融さんのことは好きでしょうか。私はとりあえずレベルカンスト程度にはお世話になっているのですが、基本はスーパー新選組だいすきゴリラなのであまり意識できていないのが本音でした。それがこのミュージカルの観劇後「岩融さんのファンになります」ということを叫びました。
主題がそもそも義経の最期ですのでこの岩融・今剣ペアが大きくクローズアップされるのは必至なのですが、なにせその、岩融さんがメッチャイケメンで……現実世界でよくぞというレベルでの今剣との体格差に加え、豪快だけど人の良さそうな笑顔といい、フードが外れた時の横顔の美しさといい、薙刀を使った豪快な殺陣といい、完全にやられました。写真で見るより生で見た方がいいです、やばいです。

厚樫山では弟を謀殺したことで余裕かましていた源頼朝が突然の奇襲に遭遇。死んだはずの源義経と弁慶が、義経を討った張本人である藤原泰衡と手を組み、なにやらダークパワーに染まった刃を振りかざしてヒャッハー。ダーク義経として兄へと刃を振りかざします。ここ特に説明はないんですが正史では藤原泰衡は頼朝にいいように使われ、結局滅ぼされる立場の人なので、義経の言うように「未来人から正史の結末を教えてもらった」としたら、頼朝に刃向う理由は充分にあるんですね。人間が闇落ちするというのはなかなか斬新だと思ったのですが、ダークパワーに染まりつつも弁慶にはまだ理性が残っており、ヒャッハーしているわが君こと義経をどこか寂しげに見つめている図がとても良かったです。
そんなこんなで歴史の流れがぐっちゃぐっちゃになったところで、ターミネーターみたいな感じで刀剣男士が時間を遡ってやってきます(服はまだ脱げません)

ここで時間遡行軍と戦うのですが、ここで括目したのは殺陣の美しさでした。
どの子もとても刀さばきが綺麗で……なんと表現したらいいのか分からないのですが、6人全員が一斉に戦闘に入った際の、あっちこっちで華麗な動きが繰り広げられるのは壮観でした。アンサンブルの人数が多いので見栄えも良く、とにかくかっこよくて私の中の小学生男子が大興奮でした。刀種も短刀から大太刀・薙刀まで各種そろっていますので、それぞれに違った立ち回りがしっかりと用意されていて、アクロバティックとはいかないまでもぴょんぴょん飛び回る今剣に、豪快に大太刀ぶん回す石切丸などなど、本当に目が足りませんでした。
普段はヒョイヒョイっという感じで足も使って立ち回っている加州が、追い詰められると地面を掴むは顔を歪めるわで喰って掛り、戦闘スタイルが荒くなるのがすごく……良くて……泥を噛んでも相手を殺す姿勢、壬生バーサーカー加州を感じてとても感動いたしました。正直、刀を使ったアクションというのが舞台化で一番みたかったところでもありますので、期待以上のものがものすごいクオリティとボリュームで繰り広げられていて身が震える思いでした。
刀剣男士はみなその名に恥じない殺陣を見せてくれ、どれも甲乙つけがたいのですが、個人的に見れて良かったMVPは三日月です。普段は悠然と微笑んでいた三日月も戦時となると華麗に立ち回るのですが、その時にも決して荒々しくはならず、払うように刃を振り抜く動きが多いんです。で、くるっと身を反転させる動きが多いので衣装がそのたびにたなびいて広がって、素早い動きなんですがとっても優雅でした。同じ太刀でも小狐丸の立ち回りとは全く違う、こういった形で個性を出してくれるこの舞台の政策に感謝の加持祈祷を捧げたいです。

そんなこうなんやかんやあってダーク義経と出会い、弁慶と岩融がやりあい、義経らが去った後に押し寄せてきた敵によって亡主との再会を喜んでいた今剣が負傷します。
状況は不利、しかし加州は撤退を指示しません。これは指揮に不慣れな訳でも動揺している訳でもなく審神者の命に必死になっている訳でもなく、彼の中にある掟に従ったものだと後で分かるのですが、その場では何度も石切丸や三日月に諭され、ようやく「不本意だけど、……撤退だ!」(ここで口調が完全に雄なのがサイコー)と発します。
本丸に戻った後、石切丸から「なぜすぐに撤退しなかったのか」「今剣の負傷の原因の責は隊長にも」と糾弾されるますが、謝罪の言葉はすぐに出ない。なぜなら加州は試衛館の生み出した人殺しマシーンこと沖田総司をルーツにする刀、「軽傷程度で退けるかよ!」と自分の正義を主張します。
このシーンでの加州の台詞、「刃が折れようが隊長が死のうが前進し続ける、それが新選組の戦い方だ!」には、すさまじく衝撃を受けました。
最近追加された6-4回想で加州は過去に決着をつけて割り切っている部分が結構色濃くでていたので意外だったというのもありますが、それ以上に、加州の根本には、ここまで声を荒げるほどに新選組の記憶が残っていて、自分が刀として死んでしまった後の「近藤の死」についても抱え込んでいるのだなぁと。
この後に続く「戦いで折れるなら上等じゃねぇか!」「俺達は殺して壊して、それでなんぼの刀剣だろうが!」という加州の叫び声が痛切で真摯で、審神者はもう言語を発することができなくなりました。
結局加州も石切丸もどちらも譲らず、その場はケンカ別れのようになります。ただし反省が無いわけではなく、その場に残った小狐丸に「どっちが悪い?」と訊く加州の……話を聞きたいけど切り出せないで目線を反らしたり手を何度も握りしめたりす仕草がいじらしかった……本当に。「答えは知っていますが、自分で見つけてこそ答えになるものです」と答える小狐丸の誠実な大人ぶりが良かったです。

この「それが新選組だ!」の辺りと、その後に加州が出した結論である「隊長としては正しいけど、仲間としては間違っていた」という結論については自分の中でまだうまく消化できていないのでじっくり考えていきたいと思います。
ただ後に和解した石切丸の手を「んじゃいくよ!……おっそい!」ってひっぱっていく加州、とつぜん「清光」と呼んで連携攻撃を繰り出してくる石切丸にはホモの気配を察知しました。

一方、怪我をした今剣はピンピンして超明るい歌など歌っているのですが、その理由は「義経公が生きていたから」。鬱フラグびんびんの中、捜しに来た岩融も一度はそれを喜ぶのですが、「あいにいきたいです」という言葉には「ならん!」と強い言葉で静止します。しかしそれは正論であっても感情に決着をつけるものではなかった為、結局今剣は一人でダーク義経公のところへ出奔してしまいます。

思い悩む岩融を「俺は言葉を信用していない」と物理攻撃で諭しにかかる三日月宗近。相手が岩融だから、言葉で悩んでいるものを言葉で諭してもうわべだけになってしまうから、などと理由はいろいろありますが、押し付けがましくもなく優しく微笑んで去って行く様子がまさに理想の三日月でした。
三日月宗近もまた解釈の振れ幅が微妙に広いキャラだと思っているのですが、個人的にはなんとなく他の刀剣より神様に近いと言うか、どこか現世を俯瞰しているようなイメージがあるんです。決して見下している訳ではないのですが、視点自体が一段高いところにあって、手の届かないところで穏やかに微笑んでる人というか。
優しい頬笑みと底の見えないぞっとするような笑みが全く同じで、その無機質さが例のカラコンを嵌めた青い瞳で際立って、美しいんですがどこかおそろしくもありました。

そしてまた色々とあってダーク義経は兄である頼朝を捕らえ殺そうとします。そこに出奔してきた今剣が割って入り「義経公はお兄さんと仲良くしたいんじゃ」と問います。すると正気に返った義経は刀を下げ、今剣に優しく語りかけます。
「わっぱ」と優しく呼びかける義経公とそれに無邪気に喜ぶ今剣のかわいいこと…中の人は流司くんより年上なのですが、幼く見えるお顔と天真爛漫さが嫌味に見えない立ち振る舞い(ぶりっこくさくない!)と小さな体躯によって、本当に我々が思い描く短刀らしさが顕現しています。今剣の左右非対称な衣装や長い髪もばっちり再現されている上に、横笛や頭にかぶる薄布といった牛若丸アイテムも追加されるので、ひらひらぴょんぴょん動く様子が際立ってます。ショタみが素晴らしいです。
「どうして義経公は天下をとろうと思わなかったの?」と尋ねる今剣に、正気にもどった義経公は「私には戦の才がある。兄上(頼朝)には世を平和に納める才がある。戦が終わり、今必要なのは兄上の才能の方だ」「人にはそれぞれ役割がある、それを果たすのだ」と答えます。これです。これも後の重要台詞になるのですが、元々は道具(岩融いわく「ただ主に従っていればよかった」)であるが、今は人の体をもってしまった。石切丸や岩融は感情を「矛盾」と表現するのですが、得たばかりのそれに折り合いをつけられず、「思ったことをすぐ実行に移せてしまう、難儀なものよ」と呟きます。岩融は頭では使命を理解していても今剣の笑顔をくもらせたくないこと、加州は自分の中の正義である新選組ルールと仲間を想う気持ちが相反していることを「矛盾」と呼んでそれぞれ葛藤します。前後しますが石切丸も「戦の道具でありながら、傷や病を癒したいという人の気持ちを受け止め続けてきた事」におおきな矛盾を抱えていると加州に指摘され、理解を示されたことで「清光」呼びになります。ホモかよ。
この、道具であり人でもあるという描き方が私個人にとっては非常にぐっとくるポイントでした。多くを語るとまた宗教論を展開してしまうので、ぜひ各々がたでご覧になって頂きたいのですが、やっぱり少し語ってしまうと、人になっても感情の正義を新選組に求めてしまう加州清光サイコーでした。試衛館の生んだ殺人マシーン「人殺しの道具」とリアルに呼ばれた沖田総司の武器であった加州は、“命令”それだけを一元的な使命として折れようが死のうが実行する。けれど、それでは仲間を失ってしまうことになると加州も心では分かっている訳です。(関係ないんですけどカーテンコールの挨拶の時にそれぞれお辞儀の仕方が違うんですが、流司加州は拳を左胸にあてる、進撃の巨人でいう「心臓を捧げよ!」ポーズで0h…ハート…となりました)加州は人の身になって、きっとかつて自らの主が抱えていたであろう葛藤や悲しみをその身をもって理解することになったのかな…と思うと尊いです。いまこれをうちながら少し泣いています。
一見すると義経公のいう「役割」というものも、人を道具化するように聞こえます。けれどそれは己の心のままに信じた道を後悔のないよう果たせ、それには命すらかけて惜しくない、という意味合いを含んでいることが、義経と弁慶の舞台上での生き様から伝わってきます。この、刀剣男士以外のキャストさんがたの演技は本当に素晴らしいのひとことにつきます。残酷な歴史にあってもなお潔く生きる彼らの姿に何度泣いたか分かりません。刀剣男士に比べて大人の貫禄があり、まさにこれ…これ…という感じです。殺陣に置いても演技においてもとても光るものを見せられ、それがこのミュージカル全体の大きく底上げ、説得力をもたせているとガチで思います。わたし弁慶さんの厨になります。
正気にもどった義経が頼朝を助けようとしますが、頼朝は「どこまで私を愚弄するか!」「私よりお前の方が源氏の頭領にふさわしいのだと皆が…」とよくある優秀な弟に対するブラコン論を展開しますが、ここで義経は「九郎(=義経)だけは、決してそうは思いません」と自らの信念を示します。ここでがっしりと抱き合う源氏兄弟に、また一切刀剣でてないにも関わらずボロボロ泣いてしまいました。刀剣男士だけではなく、改変される歴史ドラマじたいもしっかり書いているのが、本当に素敵なところだと思います。

このへんでどうやら武器が妖刀と化して力を与え、義経・弁慶らをダークサイドに引き摺り込まそうとしているというのが示唆されているのですが、まぁ案の定、兄と和解し、ダークパワーに抵抗した義経公を妖刀がグッサーーーやり、体をのっとってしまいます。この時点で弁慶はまだ正気なのですが、真正面からカチこみにやってきた壬生のヤンキー加州清光率いる三条軍団を迎え撃ち、岩融と二度目の体面をします。
この主と刀に関しては、岩融は「かつての主を懐かしく思えどそれは既に過去の事、今は歴史を守ることが使命」と断じているのですが、やはり消えない気持ちがあるとも認めています。そして挑んだこの対峙で、二人はどこか戦うことを楽しむようにやりあいます。長物同士の豪快な殺陣と絶妙な間での台詞のやりあいに、感情が滲むようでした。
最終的に弁慶が負けを認め、首を切れと示します。「武蔵坊弁慶はかように弱くはない、なぜ手加減した!」と問う岩融に対し、「お前なら、わが君を救ってくれると思ったからだ」と答えた弁慶という、決して交わることの無いのにつながっている刀と主の描き方が最高に美しかったです。

なんやなんや、岩融が先に行かせた壬生のヤンキー加州清光と三条達はダーク義経のもとに辿りつくのですが、そこに今剣が「よしつねこうをいじめないで」と立塞がります。この、今剣の短刀らしい幼さについては作中ずっと肯定されて否定されることはないんですが、個人的にはここでの「みんなでよしつねこうのけらいになればいいんです」と無邪気に言ってのける今剣は(例え深層では理解していたとしても)やっぱり少し怖かったです。なにか、新しい絆って生まれないのかなって。
「やめて」と今剣に刃を突き付けられた時、今度はハッキリ自分の言葉を伝えた加州の背中がすごく頼もしく見えて、同時になんだか泣きたくなりました。私は加州は刀としては死んだ(池田屋で切先が折れた時点で死んだ)説支持者なので、今剣が加州の首元(刀で言う切先)に刃を突き付けていたというのに反応してしまったのかもしれません。とにかくすごく、辛い図でした。同時にこれが辛いと思えるくらい再現度と物語への引き込み方が強かったんだ……と今きづいて天を仰いでいます。

そして岩融が「今剣!」と駆け寄りってその小さな背中をがっしりと抱き締め「お前は悪くない…お前は悪くないんだ」と示すシーン。神々しくてみだりに書けませんでした。冒頭で「これは…なに?」と言っていたように、今剣は義経を自らが刺し貫いたことに対して内心でずっと葛藤と矛盾を抱え込んでいた、それを直視すらできていなかった。それをすべて受けとめて諭そうとする岩融の優しい声に客席の量産型ぬしさまは泣かずにいられるだろうか(いや、ない)

そしてなんやかんやダーク義経公が出現して戦闘開始します。でもボスだからめっちゃ強い。
岩融が(弁慶と同じ自己犠牲心を発揮し)羽交い絞めにしたダーク義経を「俺ごと貫け!」と言った時に、躊躇いなく刃を抜いて刺す。そのあと「すまない、じじい故に踏み込みが浅くてな」と、笑って敵だけに刺さった刃を抜く三日月の、血濡れたシーンなのに神々しいまでの笑顔にこう、なにか凄まじいものを感じました。

発狂ダーク義経が追ってきた弁慶を葬ったことで今剣もついにこいつは義経もどきだと断じます。しかし、ここで闇の力がマックスになったのでしょう、敵は人の姿を捨て、異形のダークビジュアルバンド義経と化します。このダークビジュアルバンド義経の前に刀剣男士はずったぼろになるのですが、なんやかんやあって重傷を負いつつも、なんやかんやで気持ちがひとつになります。
そしてすべての迷いを断ち切った今剣と岩融が「いくぞ!」と一瞬モニターの裏に消え、脱衣(パージ)します。そうですあれです。原作立ち絵に本当に忠実な大破状態になった後、「真剣必殺!」と叫んで攻撃してトドメです。岩融さんのガタイについては予想がついたのでひゃ~~という感じでしたが、ショタ感の強い今剣ちゃんの胸が見えてしまった時は非常に、なにかいけないものを見てしまった気分になりました。

そうしてダークビジュアルバンド義経もどきを葬った後、岩融は義経公が弁慶にむけた最後の命である「死してなお我を守護せよ」という言葉をだし、こうして心と体を得た自分と今剣が、彼らの意志を継いで一緒にいることが役目なのだ、と諭します。そして皆でしっかりと帰還した後、加州が嬉しそうに審神者に報告をして大団円、です。
ここで「お前も成長したな」と言われて、ちょっと驚いた後にはにかんだ加州に、やっぱりこの部隊の加州は部隊内での身長の相対に見合った精神年齢(やや幼め)なのかなぁということを今思い返して気が付きました。しかし劇場ではそんなことを考える余裕もなく、ただひたすらいま通過して行った骨太なストーリーを消化するのに精いっぱいでした。

私のやっすい文だと魅力が全くお伝えできないのが口惜しいのですが、衣装から動きから演出から、何から何まできちんと作り込まれていて、時間の短さを感じないほど濃厚な本編でした。
このぶんならどの推しキャラを任せても安心だということで、アンケートの希望欄に「新選組をお願いします」と書いてきたいと思います。本当に、これだけでチケット代の価値は十二分にあるくらいなので、皆さん是非これは生で見てもらいたいです。

しかもこのミュージカル、まだ続くんだ。



■2幕

端的に言うと2.5次元MMDです。

1幕があまりにも最高で泣き崩れていた所に襲ってくるのがこれ、刀剣雷舞です。テニミュでいうところの本公演直後に15分でドリライ始まる感じです。これで本編の出来栄えが微妙だったら不完全燃焼に終わってしまう懸念もあったのですが、とにかく泣いて笑って完全燃焼した後だったので、もうどうにでも好きにしてくれと。
劇中歌やそのリミックスではなく完全に新曲を、歴史要素和要素を完全無視したアイドルスタイルで歌い踊ってくれます。刀剣である必要は?皆無です。ですが確実に必要なターンです。
最初は真っ黒な長コート(各人それぞれデザインが違う)で登場します。ちょっと軍服風のデザインでカッコいいのですが1曲くらい歌った時点でバッサー脱ぎ捨てます。うん、分かってた。中から出てくるのは某うたのプリンスさまを思わせる王子様ルック+それぞれの服とカラーをデザインした衣装で、これもそれぞれの特色がでていて素敵でした。個人的に、三日月のかっちりとした上着+黒ズボン+巻きスカートみたいな白い透け布の組み合わせが素敵でした。

色んな事が疑問ですが、2015年の平和な世界だから気にすんな!この歌をぬしさまたち(客席はすべて量産型ぬしさま)に捧げます!というテンションで全てが進行します。

指定カラーは無しとのことですが、それぞれの衣装のデザインからペンライトの色はだいたい
加州:赤 三日月:青 小狐丸:黄色 石切丸:黄緑~緑 今剣:白~ピンク 岩融:紫
だったような気がします。ほぼ全員曲で舞台上からいなくなることが少ないので、推し色固定でもまぁ問題はないような気がするのですが、やっぱり可変の方が楽しいと思います。

歌についてはすみません、1回では悲鳴をあげることしかできなかったのですが、ピンスポットあびた加州に「僕を信じて、空に飛び立ってみないか?」的なことを言われたのは薄っすら記憶に残っています。
アイドルソングに詳しくないのであまり突っ込んだことが言えないのですが、基本的にジャニーズみたいでした。私の知能がただの萌豚レベルに落ちたので、もしかしたら天歌だったのかもしれません。ダンスはどの曲も結構しっかり踊ってくれて、ああ、見せ方をよく分かっているなぁという作りになっていました。

基本的に曲調はくそ自由で、英語もガンガン使ってくるのですがなにせアイアなのであんまり歌詞は聞き取れません。結構ぐっとくる歌詞もあったのですが……本当にクソ音響が悔やまれるところなので、来年5月の本公演ではアイア討伐を期待しています。

M7『漢道』という曲で2回目となる衣装チェンジ、幕末Rockでいう所の脱衣(パージ)が発生します。正真正銘のパージです。キャスト自ら衣装に手を掛けてあっやばいなこれと思った瞬間に上着がばっさーーーーー取り除かれ、下のインナーが現れます。志士(ロッカー)ではないので上裸ではなく基本タンクトップっぽいシンプルな袖なし上着です。しかし充分です。
軽装になったところで太鼓にあわせて男らしいダンスになるのですが勿論それどころではなく。これも各キャラごとに衣装が違うなかで、加州のインナーが例の兼さんどスケベインナーなんですよ。あのぴったりして脇全開の劣情煽りまくりの黒インナー、胸のところに刀紋が描かれたその黒タンクトップと黒ズボンで踊る加州に私の魂(ソウル)は焼き尽くされました。
他には三日月の背中全開具合と小狐丸の腹筋ばっきばき具合がスケベだったと聞きますので、是非会場に足を運んで心ゆくまで「どスケベインナーだーーーーーーーーーーーーーーーーー」して頂きたいと思います。
なお『漢道』は本編で超絶活躍した義経さま・弁慶さま・頼朝さまたちが和太鼓ドコドコしてくれる点も最高なので、最後だからと油断せずに挑んで頂きたいと思います。

最後に刀剣男士は(ようやく本分を思い出したのか)キャラの正装に戻りオープニング『刀剣乱舞』を歌ってこの雷舞は終わるのですが、一回どスケベインナーを見てしまった以上、その上にまたしっかりと何枚も服を着込んでいることが余計にスケベに感じられ、現在非常に悶々としているところです。刀剣男士めちゃくちゃかっこいいのですが、どスケベインナーの罪は重い。

本当に終始錯乱していたのですが、ここは世界で唯一、リアルで加州清光にピギャれる場所なんだと思うとペンライト振る手に異様な力がこもりました。
うちわも作れて良かったですし作るべきだと思いました。だって加州清光の赤い目でめっちゃ見据えられる体験ができるのはアイアシアターだけ!ありがとう!もう死んだっていいや!嘘!残りのチケットのぶんだけ生きる!ばんざい!



■まとめ

元々のゲームの設定があまり明確ではない+そもそもあまりストーリーが提示していない作品の舞台化ということで懸念していたことは沢山あったのですが、蓋を開けてみればとても質の良いものが作られていて、舞台厨としても原作厨としても、そして加州清光だいすきゴリラとしても非常に幸せな気分に包まれております。
とにかく迷っている方は是非とも劇場で見てほしいと冗談抜きで思います。不安が大きかったというのもあるかもしれませんが、私はこのミュージカルに出会えた喜びと感謝にむせび泣き、最終的にはマッドマックスでいうところの「Witnes meeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!」みたいなテンションで叫びだしました(私の初日はハロウィーンで渋谷は厳戒態勢の百鬼夜行でした)
本日は2列目サブセンかつキャラのストップ位置という訳のわからない素敵な座席で本当に魂を抜かれたのですが、次回はもう少し落ち着いてみて加筆しようかなと思っています。

誰かチケット余ってたらください。

ありがとうございました。とっぺんぱらりのぷぅ。




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